すでに多くの方に語ってはいるのですが・・・・、遅ればせながら、この夏のイタリア絵付け修行の旅の様子です。
2年ほど前にインターネットで見つけてから、ずっと行ってみたかったモンテルーポ(トスカーナ州)の国立陶芸学校。念願かなって1週間の夏期講習に行くことが出来ました。学校は9:00から始まって16:30まで。(途中12:00から13:30までは休憩)
←今回の1週間を担当してくれたマエストロ。アルビエロさん。どの作品も、まずはマエストロのデモンストレーションから始まります。
一番初めはまず、ろくろを回しながらまっすぐな線を引く練習。そしてchiocciola(キオッチョラ=かたつむり)といわれる、ぐるぐるの練習。
錫の釉薬(スマルト)をかけていないテラコッタに絵の具で描いて、お水とスポンジで消してはまた描く・・・の繰り返し。
こういう練習ってあまりする機会がないので、とっても有意義。
練習が終わるとすぐ、白いスマルトをかけてある壷に、ぐるぐるを応用したデザインの絵付けです。(モンテルーポの伝統柄だそうです。)
何分割かに分けてデザインを描いていく方法は、習ってみればなるほど納得・・・・・なのですが、習ってみないと分からないことがいっぱい。
次のデザインはパルメッタという、15世紀ごろからモンテルーポの伝統柄。パルメッタは孔雀の羽という説と椰子の木の説とあるらしいのですが、とにかくモンテルーポを始めトスカーナ地方でよく見るデザインです。
焼き上がりはこんな感じ。同じ作品を作ってますが、それぞれ壷の形も違えば色もデザインの応用の仕方も様々。日本と違って、こちらではそんなの全然アリ・・・なんです。
みんな「自分のがこれだったらなあ・・・」と、マエストロの作品を見ながら焼き上がりの作品を鑑賞したり、しなかったり・・・。
私の好きなフルッタ(フルーツ)も教わりました~。↓
教室の棚にゴロゴロならんでいる、見本の壷たち。各自好きなものを持ってきて見本にしたりしていました。
私が部分的にフルッタの見本にしていた巨大マグカップ(?)は、かわいかったなあ~♪↓
貸してもらえる絵の具は全部でこれだけ。真ん中下から2つ目の「RAMINA(ラミーナ)」は酸化銅なのですが、描いたときは黒、焼くと緑になる絵の具。スペインタイルの学校では「VERDE COBRE(ベルデ・コブレ)」という名前です。これを葉っぱなどに良く使ってましたね。
それにしても、絵の具を水と混ぜるパレットは白い”テーブル”そのものを使うんですよ。
終わったら濡らしたスポンジでザーッと拭き取るだけ。この大胆さがいいんです。
みんな自分の利き手側に机をもってきてそこに絵の具を出して描いてるんです。私は右利きなので右側に机。
ちなみに背景にちらほら見える人影は、「ろくろコース」の先生と生徒さんたち。同じ時間にやっているので、時々覗いたり、覗かれたり・・・。
↑で描いているのは、このお花柄の大皿・・・・。実はあんまり好きじゃないデザインだったのですが、マエストロに「じゃあ次はこれね」と個人的にデモンストレーションしてもらったりしちゃったもので(足並みそろってなくても、どんどんデモンストレーションしてくれるんです)、描かざるをえなくなりました・・・。
マエストロのデモンストレーションは本当にお見事。デザインうんぬん・・・よりも、その筆使いとタッチに惚れ惚れ・・・・。
見ていると自分もそういう風に描ける気がしてくるのですが、やってみると現実はそうは甘くない・・・。
←嫌々描くと、作品に表れるなあ・・・・ということが良く分かった貴重な作品です。
あ、ちなみに見本のお皿は床に置かれることになってます。
置き場所ないとはいえ・・・・・・これまた大胆だと思いませんか?!
次の作品は好きなの描くぞ~!と廊下に沢山掛けられている絵皿からお気に入りの一枚を見本にピックアップ。(もちろん床に置いてます・笑)
やっぱり好きな絵柄だと、筆の進み方も違うようで・・・・。
↑これが焼きあがった私の作品です。
マエストロは「フィオーレ・ディ・モンテルーポ」というモンテルーポの伝統柄だと言っていましたが、博物館見学を担当してくれた校長先生曰く、もともとはヴェネツィア柄なのだ・・・とか。こういう歴史的な事柄があいまいなのもマヨリカ焼きの特徴。でも現場でしか聞けないマヨリカ焼きにまつわる色々な話を聞けるのは、とーっても貴重な体験。マヨリカ焼きに関する文献ってすごく少ないんです。
↑マエストロのデモンストレーションはこんな感じのシックなフィオーレ・ディ・モンテルーポでした。(ああ、マエストロの筆のタッチは本当に美しーぃ!)
希望者(?)には錫釉(スマルト)かけの指導も。↓
大きな素焼きのお皿(ビスコット)を巨大トングではさんで・・・・
↑これが結構難しいんです。
お気づきのように、”マヨリカ絵付けコース”の生徒は全員女性。全部で10人の生徒たちは、ベネチアからのパトリッツィア、ナポリからのキアラ(←この2人は絵付け友達。たまたまホテルが一緒で、仲良くしてもらいました)、ベルギー人で今はシエナにすむクララ、後はトスカーナの近郊の街からエレナ×2、カナダ生まれのパトリッツィア、19歳の美大生グローリアちゃん・・・といった、とっても感じのよい人々でした。
ただでさえイタリア語のヒアリングが出来ない私なのですが、本当に困ってしまったのがマエストロのバリバリ”トスカーナ弁”。聞きなおしても分からないので、聞きなおすことも諦めちゃったりして(笑)。
見ていれば大体のことは分かるのですが、一対一の会話だとチンプンカンプン・・・。
でも、みんなさりげなく助けてくれたり(トスカーナ弁=>イタリア語への通訳とか)、あえてほっといてくれたり・・・。とにかくアットホームな空気で1週間(実質5日間)思いっきり大好きな絵付けをして過ごせのは、素敵なクラスメート達のお陰でもありました。
あ、もちろんマエストロ・アルビエロ氏もとってもいい人だったんですよ。
彼はすでに年金生活を送っているらしいのですが、フットワークも軽いし、教える意欲もすごいし、生徒のどんな質問にもひとつひとつジョークを交えながら答えていましたね。(←このジョークが分からないのがくやしい!)
マエストロがお家で取ったいちじくを大量に2回ほど持ってきてくれたことがあったのですが、このいちじくが美味しかった♪
きちんとコミュニケーション出来なかったことが悔やまれますが、いつの日かトスカーナ弁を習得して、また彼から習ってみたいなあ~。
・・・というわけで、モンテルーポの町の様子はまた次回♪