ゴールデンウィークの中国ツアーから戻って間もなく、四川の大地震が発生しました。色々な方から、「大丈夫だと思うけど・・・帰ってるよね」という様なメールやメッセージをいただき(ありがとうございました)、すぐにでもブログで近況をお知らせしようと思っていたのですが、、、、毎日毎日報道される中国四川省の惨事に心が痛むばかりで、なかなか中国ツアーのご報告をする気持ちになれず・・・・。ご報告が遅れましたこと、お許し下さい。
この10数年間、沢山のガイドさんなどにお世話になり、特に四川省は去年・一昨年と縁あって訪れた土地。。。お会いした方々一人ひとりの近況を知ることは、もちろんできませんが、やっぱり「どうしているかな~」と祈る気持ちになってしまいます。
北京に住む中国人のIちゃんは、もう10年近くも前に仕事で知り合った女性で、今では私の大切な友人の1人です。今回の地震でさぞかし心を痛めているだろうと思い、メールをしてみると、こんな返信が来ました。
Iちゃんからの手紙(抜粋)
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その日、ビルの25階にいた私もすごい、しかも長い揺れが感じました。会社の人たちはほとんどビルから逃げ出して、みんなが怖い怖いと言いました。
もちろん仕事には影響が出ていましたが、家族も家も失った震災地の方たちに比べ、仕事への影響って、とんでもないことです。
私のおじさん一家は成都に住んでいて、家の壁にひびが入って、住めなくなりましたが、幸い怪我はありませんでした。
こちらも報道を見ながら、心が痛み、涙涙涙の毎日です。命の重さは、改めて痛感しました。震災地の方々に一刻も早く立ち直してほしい。今の私にできることは寄付だけですが、これから、彼(彼女)たちのために、私にできることがあれば、何でもやります。
Tちゃん、心配して頂きましてありがとうございます。心が温まりました。
私は大丈夫、元気に生きています。これからも元気に生きていきたいです。(・・・続く)
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この手紙を見て、ハッとさせられました。
毎日ニュースを見て心を痛めている・・・と言いつつ、どうしても”他の国の出来事”と思ってしまう自分がいることに気がついてはいたのですが、「自分に出来る事もあるのではないか?」と考えることすらしなかった私でした。
私に出来る事・・・・・あるのでしょうか?
もしあるとしたら・・・・
①中国の人々や文化の素晴らしさを伝えていくこと
②ささやかな募金を続けていくこと(今のところ、コンビニのお釣りを募金箱に入れるだけ・・・ですが)
③国境に関係なく人の命を想って祈ること
・・・今思いつくことはそれ位なのですが、それでも何もしないよりは良いのかもしれません。
そして前置きが長~くなりましたが、そういう訳で、1人勝手に使命感にかられて、今更ながらにゴールデンウィークの中国雲南省の旅のご報告をさせていただきますね。
ちなみに雲南省は四川省の南側に隣接する州で、地震もあって、昔の大地震から復興した街も多くあるのだそうです。
この写真は町を見下ろす高台から撮った、世界遺産の町・麗江の甍の波のパノラマです。↓
ナシ(納西)族という少数民族の多く暮らす”麗江”という魅力的な街は、実は朝と日中と夜、全然違う顔を持っています。
朝・・・・・静かな石畳の街。古都のイメージそのまま。近くの玉龍雪山(5569メートル)からの雪解け水が豊富な、水の街・・といったイメージです。ナシ族の人達の朝は遅いのだそうで、この写真を撮った朝7:30頃だとまだ人もまばら・・・。民族衣装を着たおばあさんたちがのんびりと歩く光景がなんとものどかです。↓
昼・・・・・観光客で溢れ、お店も活気付き、カラフルで賑やかな街の印象。お店に売られている少数民族の民芸品や、トンパ文字のお土産もの、ナシ族の銀細工などを見て歩くのも楽しい街です。↓
夜・・・・・昼とは違った、驚くほどの賑やかさ!オープンエアのバーやライブハウスが沢山並ぶ道では運河をはさんで歌合戦が繰り広げられていたり・・・・あまりの人混みに、年配のお客様はびっくり!とにかく楽しそうな若者で溢れる街でした。(歩くのが精一杯で、若者の写真は撮れませんでした~)ライトアップも綺麗です。↓
麗江の町からも見える、玉龍雪山(5569m)はナシ族の人達にとって聖なる山。
麗江の町自体が標高2400mのところにあるのですが、それでも万年雪を湛える山はとっても高くそびえ立っています。
ナシ族に伝わる伝説や現在も残る風習には、現代では考えられないようなものが沢山あって驚かされます。
例えば、”心中”というのは、ナシ族の人達にとっては、”許されるべきもの”。結婚を許されない男女が選ぶ道として、”美しい結末”、”祝うべきもの”。という習慣があって、昔は日常茶飯事だったのだそうです。そしてそれは今でも続いているのだとか・・。さすがに現代では違う民族の結婚が許されることや、他の場所へ行って生活する・・・という選択肢もあるので”心中”を選ぶ男女は少ないのだそうですが、それでも年に数組は、二人で山へ行ってそのまま帰らない・・・という結末を選ぶのだとか。心中の前にそのことを告げられた友人は、2人の選択を喜び、亡くなった後は皆でお祝いをするそうで、そういったお祝いのシーンが民族博物館に飾られていたのには、一同びっくりでした。
また、結婚式の前日には、新郎は村の幼い子供達と一緒に寝るのだそうです。寝る前に子供達にお水を一杯飲ませて、翌朝その中の1人でも”おねしょ”をしていれば縁起が良い・・・なんていう風習もあるのだとか。面白いですよね。
←こちらはトンパ文字です。トンパ文字もナシ族固有の文化で、現代でも使われている世界で唯一の象形文字。今では数名のトンパと呼ばれる司祭によってのみ受け継がれているのだそうですが、一つひとつ見ていくと、結構分かるものもあったり、ナシ族の思想が反映されているものもあったり・・・。興味がある方はこんなサイトを見つけたので、自分の名前をトンパ文字に変換してみてはいかがでしょう?=>
http://heno2.com/mailart/tompa.html
←大理石で有名な”大理”に多く住むのは、ペー(白)族の人々。
頭飾りの白い羽は未婚女性がつけるもので、この色が民族の名前の由来になっているのだそうです。若い娘さんの民族衣装に白が基調のものが多いのも、民族の色を意識しているからでしょうか。
かつては”大理国”という国を作り、栄えていた大理の町。城壁に囲まれた古城(中国では古い街のことを古城といいます)の南門。
雲南省で取れた上質のお茶がチベットまで運ばれていたという”茶葉古道”の始まりの地でもあります。
←さて、このお嬢さんは何族でしょう?!
彼女は雲南省の省都”昆明”からバスで1時間半ほどのところにある”石林”に多く住む、”サニ族”の”未婚”の女性です。なぜ”未婚”と分かるかというと、彼女の民族衣装の”ツノ”に注目!です。
この写真では分かりにくいので、次の写真をよーく見て下さいね。
←ね、”ツノ”があるでしょう?
この民族衣装の帽子の”ツノ”が立っている女性は”未婚”、ツノを倒して隠してある帽子を被っている女性は”既婚”なのだそうです。
そして、これが重要なのですが、男性は”ある理由”がない限り、絶対にこのツノに触ってはいけないそうです。触ると「結婚して下さい」という意味になり、それを女性が受け入れた場合”絶対に結婚しなくてはならない”のだそうです。もちろん”ある理由”というのは”結婚したい”ということなのですが、もしツノを触った女性がその結婚を受け入れたのに、男性が断った場合、その男性は”その女性の実家で3年間の労働”を強いられるのだとか・・・。うーん、厳しい!
←ちなみに、この”サニ族”の暮らす”石林”の、ほんのほんのほーんの一部はこんな感じです。
大昔の海の底だったカルスト地形の、まさに石の林!!こんな雄大な景色が果てしなく続く光景は、人間には絶対作れない、神様が創った創造物。こんな偉大な自然も中国の魅力の一つであり、世界の宝物でもあるのかもしれません。
・・・と、こんな偉大な自然や文化を持つ中国という国で何万人もの犠牲者が出る地震が起こり、今でも被害者の方の数が増え続けている現状には、やはり胸が痛みます。
いつの日か”この地震があったからこそ”と思えるような史実となるように、一日も早い復興を祈るばかりです。
犠牲者の方々のご冥福を心からお祈りいたします。